岩手の三陸海岸沿いのとある町を舞台にしたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」が放送されて以降、東北の中でも人気の観光スポットとなっている岩手県。北海道に次いで広い面積を誇り、世界遺産の「平泉」をはじめ、リアス式海岸で知られる「浄土ヶ浜」、神秘的な地底湖「龍泉洞」や「厳美渓」など、歴史的建造物やたくさんの景勝地があります。日本最大級の牧場「小岩井農場」では、動物とのふれ合いや屋外アクティビティも満喫でき、家族連れにも大人気です。また、岩手県は、民間伝承や逸話・伝説が残る地としても有名で、「義経=チンギス・ハン説(義経北行伝説)」や、柳田國男の『遠野物語』の舞台でもあり、昭和の頃まで河童(かっぱ)の目撃談が多数寄せられるなど、ワクワク!ドキドキ!が盛だくさんのところです。
龍泉洞(りゅうせんどう) 岩泉町にある龍泉洞は日本三大鍾乳洞の一つとされ、また洞内に棲むコウモリと共に国の天然記念物に指定されています。洞内総延長は知られている所で4,088mで、そのうち700mが公開中。 見つかっている地底湖は8つで、そのうち3つが公開中。 現在も調査が継続中で未知の部分もまだまだ多く、総延長は5,000m以上ではないかと言われています。2010年に改修工事が行われ、LED照明を洞内に採用するなど一段と見やすくリニューアルが行われました。「龍泉洞」の見どころは、その造形美と世界に誇る透明度をもつ地底湖です。入口を入るとすぐ、龍が通ってできたという細長く続く直線的な「百間廊下(ひゃっけんろうか)」があります。複雑な構造の洞窟をさらに奥に進むと自然による見事な鍾乳石の造形が次々と現れます。さらに月の世界にいるかのような「月宮殿」と呼ばれる広い空間を過ぎると、メインの地底湖へと差し掛かっていきます。とにかく世界有数というその透明度には目を奪われます。第一地底湖は水深35m、第二地底湖は水深38m、そして観光コースの最奥部、第三地底湖は水深98m!この第三地底湖の透明度は世界有数の45mとされ、覗き込めばいったいどこまで続いているのか分からないくらいの深さに驚くことでしょう。ちなみに「龍泉洞の水」は2009年度モンドセレクションで最高金賞を受賞した世界に認められた名水です。
龍泉洞・公式サイト
世界遺産・平泉 世界遺産の平泉は岩手県の南西部にあります。その歴史は「前九年の役」「後三年の役」を経て11世紀末に奥州藤原氏初代当主である清衡(きよひら)が平泉に館を移し、戦により命を落としたすべての人々の霊を弔うために中尊寺(ちゅうそんじ)を建立したことに始まるといわれています。その後、二代目の基衡(もとひら)、三代目の秀衡(ひでひら)が平泉の街づくりをさらに発展させていき、12世紀末に奥州藤原氏が滅亡してからは堂塔が次々と焼失してしまいましたが、残った建物は遺跡として平泉の人々に守られ続けてきました。「平泉の文化遺産」は、中尊寺をはじめ、毛越寺(もうつうじ)、観自在王院跡(かんじざいおういんあと)、無量光院跡(むりょうこういんあと)、金鶏山(きんけいさん)の5つの資産によって構成されています。
【中尊寺(ちゅうそんじ)】
850年(嘉祥3年)に慈覚大師によって創建されたといわれており、12世紀初頭に藤原清衡(奥州藤原氏の初代当主)が造営に着手した天台宗の一山寺院です。国宝に指定されている金色堂は1124年(天治元年)に上棟されたといわれている阿弥陀堂で、世界遺産委員会からは「重厚に金箔を押した中尊寺金色堂は、12世紀から残る唯一のものであり、奥州藤原氏の巨大な富を反映している」と評価されています。
【毛越寺(もうつうじ)】
同時期に慈覚大師により創建されましたが、度重なる火災により建物は焼失。奥州藤原氏の二代目当主の基衡、および三代目の秀衡が伽藍(がらん)を再興しましたが、その後も火災により焼失し、現在では浄土庭園や伽藍遺構が良好な保存状態で残されています。毛越寺庭園には東西約180メートル、南北約90メートルの「大泉が池」があり、平安時代の典型的な浄土庭園の姿を見ることができます。浄土庭園とは、平安時代から鎌倉時代にかけて築造された日本庭園で、極楽浄土の世界を表現しています。
平泉の文化遺産・公式サイト
中尊寺・公式サイト
毛越寺・公式サイト
源義経と義経北行伝説 源義経(1159年~1189年)と平泉のつながりは、古くは牛若丸(うしわかまる)と呼ばれた幼少の頃からで、父の義朝の死後、出家して一時京都の鞍馬寺に預けられるも、僧侶になるのを嫌って奥州平泉へ逃げ込み、三代目当主の藤原秀衡にかくまわれて育った生い立ちがあります。成人した義経は、兄の頼朝が平氏打倒の兵を挙げるとそれに馳せ参じ、現在の瀬戸内海周辺で繰り広げられた源平合戦(一ノ谷の戦い、屋島の戦い、壇ノ浦の戦い)で、平氏討伐を果たす大活躍をして、一躍時の人(英雄)となり注目を集めました。
ところが、数々の武功を挙げたことが逆に頼朝との不和を生じさせ、追われる身となった義経は、妻子とともに最も信頼のおける藤原秀衡を頼って奥州・平泉へとやってきます。しかし、到着したその年(1187年)10月に、秀衡は亡くなってしまい、大黒柱を失った奥州藤原氏はもろくも崩れはじめ、秀衡の後を継いだ息子の泰衡は、頼朝の再三の要請に屈し、1189年4月30日に義経を急襲し、高館義経堂(たかだちぎけいどう)/衣川の館(ころもがわのたち)で、妻子とともに自害したとされています(衣川の戦い)。
ところが義経は、実は自害は見せかけで、弁慶などとともに密かに三陸から北海道へ逃れ、さらに大陸に渡って成吉思汗(チンギス・ハン)になったというのが、「義経北行伝説」です。現在の岩手から青森、そして北海道まで、義経が立ち寄ったといわれる場所が古くから伝えられており、800年以上経った現在でも人々に受け継がれています。
高館義経堂(たかだちぎけいどう)のサイト
義経北行伝説ドライブガイドのサイト
河童伝説(遠野・岩泉) 土淵町の常堅寺(じょうけんじ)の裏手を流れる小川(カッパ淵)には、その昔たくさんの河童が棲んでいたそうで、人々を驚かし悪戯をしたといわれています。『遠野物語』の中にも、小川に水を飲みに来た馬を引き込もうとする悪戯好きな河童が登場します。あるとき、馬を川に引きこもうとして、逆に引き上げられ懲らしめられた河童は、もう二度と悪さはしないと約束し、詫び証文を書いたという話も残っています。
河童伝説は日本の全国各地にあります。河童は清流を好み、一般的に肌は緑色といわれていますが、遠野の河童は赤く、『遠野物語』の59話にはこうあります。「外(ほか)の地にては河童の顔は青しというようなれど、遠野の河童は面の色赤きなり」。
岩手では遠野の河童のほかに、清流の町で知られる岩泉の河童が有名です。体長は3~4歳児ほどの大きさで、体の色は、茶色や赤茶色(馬の栃栗毛色)、皿はミカン色やコーチンの卵色など、具体的な証言が『河童を見た人びと(高橋貞子著)』にも書かれています。また、お年寄りの中には、子供の頃、小学校の帰り道に、道路脇下の沢で泳ぐ河童に遭遇し、一緒に水遊びを数回にわたって経験したという、非常に面白い証言もあります。今ではおとぎ話とされる河童伝説も、数ある証言を紐解けば、真実が浮かび上がってくる日が来るかもしれません。
カッパの里 岩泉(NHK)
遠野時間のサイト(カッパ淵)
浄土ヶ浜 浄土ヶ浜は、三陸復興国立公園の三陸ジオパークの中にある景勝地です。鋭くそそり立つ真っ白な大岩群は、約5200万年前のマグマによってできた火山岩で、その白さは二酸化ケイ素を多く含むためと考えられています。岩肌にはマグマが流れてできる模様の「流理構造」が刻まれています。浄土ヶ浜の名前は、約300年前に宮古山常安寺の霊鏡竜湖和尚がこの地の景観を称して「さながら極楽浄土のごとし」と述べたことが由来といわれています。透明度の高い海は波おだやかで、夏には多くの海水浴客が訪れます。また、冬には雪に覆われた清らかな光景を見ることができます。1996年(平成8年)には「日本の渚百選」に選ばれ、2000年(平成12年)には「日本の水浴場88選」、さらにその翌年には「日本のかおり風景百選」にも選出されています。
浄土ヶ浜の紹介
浄土ヶ浜の見どころ
厳美渓(げんびけい) 平泉町から車で約15分の位置にあり、国の名勝および天然記念物に指定される美しい渓谷です。奇岩・奇勝・滝とダイナミックな渓谷美が約2kmにわたって続き、変化に富んだ景色を眺めることができます。エメラルドグリーンの渓流に、四季折々の景色がよく映えます。
穏やかな下流を散策するコース(約30分)と、荒々しさが特徴の上流方面を散策するコース(約70分)があります。その中心となるのが「天工(てんぐ)橋」です。天工橋からは、磐井川の急流によって削られた岩肌が特徴の渓谷を一望できます。厳美渓に行ったら必ず食べたいのが、名物「空飛ぶだんご」。本来は「郭公だんご(かっこうだんご)」といい、渓谷につくられた茶屋から対岸の休憩所まで、ロープを通じて団子が空を飛んできます。団子はあん、ごま、みたらしの3種類あり、観光で空いた小腹を満たしてくれます。
厳美渓の見どころ
小岩井農場 小岩井農場まきば園は、日本最大級の民間総合農場です。観光エリアのまきば園では、ガイド付きツアーやミニチュアホースとのふれあいコーナー、バター作りなど様々な体験を楽しめることが魅力です。また、農場内にある21棟の建造物が国の重要文化財に指定され、大変貴重な農場として多くの観光客を魅了します。農場一番の目玉は質の高い小岩井農場産の素材をふんだんに使用したグルメです。なかでも生乳の風味を活かした「ソフトクリーム」や「ジェラート」は人気のメニューです。小岩井農場まきば園では、雄大な自然のなかで放牧されている羊を眺めたり、乗馬を体験することができます。羊の放牧地では、季節によって羊のエサやりや毛刈りなど、馬や羊などとふれあえるのが魅力。まきばのホール北棟ではうさぎやミニチュアホースなどとのふれあい体験ができます。乗馬体験はスタッフが馬を引いてくれるので初めての方や、小さな子供でも安心して楽しむ事ができます。また、広い園内を歩くのは疲れてしまう、といった人におすすめな乗り物が「上丸牛舎ライナー」です。山麓館前から上丸牛舎を往復するための電気自動車で、片道100円で利用することができるため移動手段として大変人気です。そのほか「トロ馬車」というアクティビティもあります。明治期から農場の主要交通機関として走っていた馬車鉄道の鉄路を使用しており、一昔前の時代にタイムスリップしたような気分を楽しめます。
小岩井農場のサイト
月-金:09:00~19:00
土日祝:10:00~17:00
〒598-0093大阪府泉南郡田尻町
りんくうポート北5番6